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第39回《〜これまで誰も教えてくれなかった〜『絵画鑑賞入門講座』》 ターナーとイギリス風景画(その2)


7月23日(日)のプロトマニア・アート・レクチャーのご案内です。

ターナーとイギリス風景画 (その2)


さて、次回はターナーが描こうとしたものを、同時代のイギリスにおけるもう一人のの巨匠コンスタブルを視座に置くことによって、更に明確にしていきたいと思います。

この二人の巨匠はあらゆる点で対照的です。前回の告知でもお話しましたが、ターナーは弱冠27歳でロイヤル・アカデミーの正会員となった早熟の天才、コンスタブルが正会員となったのは53歳、ターナーと比べると遅咲きですね。

実生活もまったく違います。

ターナーはロンドンの下町コヴェント・ガーデンの理髪店の息子。彼が子供の頃に幼い妹が亡くなります。また彼がロイヤル・アカデミーの準会員になった直後に母親が精神病院に収容され、4年後にはそこで亡くなります。ターナーと父親は大変仲がよく、父親はいつのまにかターナーの助手のようなことまでするようになります。ターナーが54歳の時に父親が亡くなりますが、その時まで二人は同居し、気楽な独身男二人の生活を貫きます。と、公にはそうなっていますが、実はターナーは準会員になった24歳の頃から、4人の子供があったセアラ・ダンビーという未亡人と10年間密かに交際して、二人の娘ももうけていたりします。画家仲間では誰も気づかず、いわゆる二重生活を送っていました。そして父親の死後は、彼が以前絵を描きに通っていたマーゲイトという海辺の町の定宿の経営者、未亡人のソフィア・ブースと懇ろになります。結局、彼女がターナーの最後を看取ることになりますが、ターナーは彼女との仲を公にはしていません。71歳の時にはチェルシー地区に借りた小さな家で彼女と暮らし始めましたが、まわりの人々には彼女の名を借りて「ブース提督」と名乗り、高名な画家であることは誰にも明かしていません。彼の絵画同様、たいへん謎の多い人生を送りました。

また、非常に美化された24歳の時の自画像からターナーは美男子だと思っている方も多いようです(私もその一人でした)が、実際のターナーは極端な鷲鼻で風采のあがらない小男。けちで我が強く粗野な振る舞いが多かったようです。かと思えば、気前がよく社交的と評する人もいました。なかなか複雑な性格だったようですね。

一方、コンスタブルは裕福な農家兼製粉業者の家に生まれました。こちらは美男子。
女性観も明快。マリア・ピックネルという女性を一途に愛し、マリアが41歳という若さでなくなるまで12年間の結婚生活で7人の子供に恵まれました。彼はまた子煩悩でマリアの亡くなったあともひたむきに家族を愛し続けました。
セアラ・ダンビーとの間にもうけた二人の娘の結婚式にも出席しなかったターナーとは家族観もまったく違います。

また、ターナーがインスピレーションを喚起する風景を求めてイギリス国内から海外まで旅に明け暮れたのに対し、コンスタブルは生涯イギリスを出ることなく、愛する故郷とその近郊およびロンドンの風景を描き続けました。エネルギッシュに忙しない人生を送ったターナーとあくまでも穏やかで落ち着いた生活を愛したコンスタブルと言ったところでしょうか。

こんなにも対照的なターナーとコンスタブルですが、ふたりの絵画の違いはどこにあるのでしょうか?私は、ターナーは見えるものの先にある見えないものを描くことに一生を捧げた画家、コンスタブルは見えるものを愛して、それを描ききろうとした画家だと思います。

次回は皆さんとのその辺りの議論を大いに楽しみにしています。

追伸:次回の幕間では、参加者のMさんからのリクエストにお答えして、イギリスの「遅れてきたカラヴァッジョ派」ライト・オブ・ダービーをご紹介します。ライトはターナーより半世紀ほど前の画家ですが、Mさんが驚かれたようにその描写力には目をみはるものがあります。

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ジョン・コンスタブル
(ラムゼイ・ライナグル作、1799年頃)


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コンスタブル 干し草車  1821年

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ターナー  日の出、入江のほとりの城  1840-45年

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ライト・オブ・ダービー  空気ポンプの実験  1768年
   

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※ この講座は絵の知識を競うものではありません。絵を見る力を養うための講座
  です。
※ いわゆる美術史の流れを知らなくても、その場で向き合った絵をどう感じたか
  どう見るか、そしてそれをどう自分の言葉にするかを「わいわいがやがや」の
寺子屋スタイルで学びます。お気軽にご参加ください。

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講師:  中尾陽一
日程 : 2017年 7月23日(日) 13:00 —15:30
参加費: 4000円
場所 : プロトマニア https://protomania3.wordpress.com
    (東京メトロ九段下駅 3b 出口(北の丸スクエア)より徒歩2分)
     〒102-0073 東京都千代田区九段北1-12-5 市田ビル6F

予約・お問合せ : お名前と日中のご連絡先を添えてメールまたはお電話でお
申込みください。
  e-mail: yoyoa@mac.com phone: 090-2469-4450(荒川陽子)

* メールでお申し込みいただきましたら確認の返信メールを送らせていただき
ます。
プロトマニアから返信メールが届かない場合は、大変恐れ入りますが電話で
お問合せください。

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by redoutehugos | 2017-07-01 11:08 | アートの楽しみ | Comments(0)

第38回《〜これまで誰も教えてくれなかった〜『絵画鑑賞入門講座』》 ターナーとイギリス風景画(その1)

6月25日(日)のプロトマニア・アート・レクチャーのご案内です。

      ターナーとイギリス風景画 (その1)

前回《バルテュス》の講座内容が、プロトマニアのFBで、ライブ感たっぷりに楽しく紹介されています。

この日は、バルテュスの回想録『バルテュス、自身を語る』の翻訳者、鳥取絹子さんも参加され、貴重な裏話などでも盛り上がりました。

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私自身は、バルテュスが『20世紀最後の巨匠』とまで呼ばれるようになるためには、相当なセルフ・プロモーションがあったのだろうと思っていました。言わば策士としてのバルテュスをイメージしていたのですが、この回想録で淡々と語られているバルテュスの絵画に向き合うひたむきな態度はなかなかに感動的で、バルテュスのイメージがすっかり変わってしまいました。



さて、次回はターナーをとりあげます。
ウィリアム・ターナー (1775-1851)はイギリス風景画の範疇を超えてイギリス絵画の最大の巨匠です。そしてターナーと言えば、同時代の風景画の巨匠コンスタブル(1776 - 1837)と比較して語られることも多いと思います。

そこで、ちょっと俗物的な観点から二人を比較してみます。
ターナーがイギリス美術界の権威ロイヤル・アカデミーで準会員になったのが24歳の時、そして早くも3年後には27歳になる直前で正会員に推挙されています。一方、コンスタブルが準会員になったのは43歳の時、正会員になったのは53歳になってからです。ターナーがいかに早くから画家として認められたのかを如実に語っています。イギリス風景画の二大巨匠として並び称される二人ですが、二人の才能の開花、画家としてのキャリアはだいぶ違います。

ところで私の中でターナーの風貌はずっと、彼の23歳の時の自画像によって決まっていました。この自画像の1年後に彼は、ロイヤル・アカデミーの準会員になるのですが、すでに前途洋々、才気煥発、ななかなかの美丈夫として描かれています。いかにも世間受けが良く、画家としても成功をおさめそうな雰囲気の若者像です。言わば、時代の流れに沿った絵を描いて、世俗的な成功をおさめそうような雰囲気を漂わせています・

私にはなかなか、そのターナーのイメージと彼をイギリス最大の巨匠としている、当時の画壇の潮流からは全く孤絶し、抽象絵画のようなところまで突き進んだ独自の絵画世界とがどうしても結びつきませんでした。

次回はそのあたりのお話からターナーの世界にはいって行きたいと思います。

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自画像  1798年頃



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ミノタウルス号の難破  1805年

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戦艦テメレール 1838年頃

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雨、蒸気、速度  1844年

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  です。
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講師:  中尾陽一
日程 : 2017年 6月25日(日) 13:00 —15:30
参加費: 4000円
場所 : プロトマニア https://protomania3.wordpress.com
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予約・お問合せ : お名前と日中のご連絡先を添えてメールまたはお電話でお
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by redoutehugos | 2017-06-07 17:23 | アートの楽しみ | Comments(0)